大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(う)113号 判決

被告人 栗城嵩 外二名

〔抄 録〕

所論は原判決は主文で「押収してある百円貨幣七枚のうち二枚はこれを倉地正悟に還付する」として、理由の中で「主文掲記の百円貨幣七枚のうち二枚は被告人らが判示第一の犯行により得た賍物でこれを被害者に還付すべき理由が明らかである」としている。しかしながら右二百円は倉地正悟が被告人らに対しわいせつ写真十枚の買受代金として支払つたものであつて、財産犯により取得されたものでなく、倉地はその被害者でもないから、右金員を同人に還付すべき筋合は全くないのである。従つて原判決の還付の言渡は刑事訴訟法第三四七条第一項の解釈適用を誤つたものであり、その誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであるから破棄されるべきであると主張するのである。

案ずるに本件二百円が倉地正悟より被告人らに対しわいせつ写真十枚の買受代金として支払われたものであることは記録に徴し明らかである。しかして刑事訴訟法第三四七条第一項により被害者に還付されるべきものは賍物すなわち財産犯により取得されたもので且つ被害者に還付すべき理由が明らかであるものでなければならないのであるが、わいせつ図画の販売代金のごときは、財産犯により取得されたものということができず、少くとも右買受人に還付すべき理由が明らかなものということはできないから、原判決がこれを右倉地に還付する言渡をしたのは刑事訴訟法第三四七条第一項の解釈適用を誤つたものでありその誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決はこの点において破棄を免れない。

(長谷川 関 小林信)

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